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住宅業者選択では「4C分析」を活用し理想の家を実現しましょう

建築家・建築設計事務所や建築業者などの選定に際し、その場の雰囲気で思わず決めてしまうことはないでしょうか?頭の中ではさまざまなことを考えていますが、まとめきれず値段だけで決めたものの、トータルの価格はほとんど同じだった、もしくは高かったなど、後悔することもあるかと思います。
 

今回はそのような事態を招かないために意識すべき「4C」について解説します。

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4C分析とは
4C分析とは、企業が顧客視点でマーケティング戦略を考える際のフレームワークの一つです。4C分析では、顧客が商品やサービスを購入する際、大きな影響を与える4要素を以下の通り定義しています。

  • Customer Value(顧客価値)
  • Cost(コスト・費用、負担)
  • Convenience(利便性)
  • Communication(コミュニケーション)

それぞれの頭文字のCをとって4C分析と名付けられています。

4Cチャート図

4Cの4要素について
4Cの手法は企業が顧客視点をベースにマーケティングの戦略を分析・調査するための手法です。その手法を利用し、顧客側から企業を選択する方法として利用していきます。まずは、各要素の確認をしていきます。

①Customer Value(顧客価値)
自分たちにとっての期待値、満足度の高さを表し、4つの要素の中での判断基準としてはかなり高い要素です。
 
自分たちが考えているデザイン性、居住性、品質など、さまざまな要素があります。それら自分たちが理想とする家に叶うデザインなど、重要視している要素をピックアップし、各事業者がそれらの対応をどれぐらいできているかを検証していきます。
 
趣味的な部分も含め、自分たちが理想と考えている家に近い提案などができているかなど、建築業者としての家に関する要素が中心となります。

 

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②Cost(コスト・費用)
価格に妥当性を感じられるかどうかを表します。この要素も判断基準としては高いです。
 
住宅本体の価格が安くても、有償オプションなどの有無など直接的な金額だけでなく、時間的な要素として、工期が長くなれば、入居までに時間がかかり、家賃負担や住宅ローンのつなぎ資金の金利負担など間接的な金額も関係してきます。

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また、ランニングコストや耐久性なども関係してきます。表面的なコストだけでなく、その後の管理コストなども検討する必要があります。

③Covenience(利便性)
注文のしやすさや、オプションなどが充実しているなどの要素になります。この要素の重要度はやや下がります。
 
業者が引っ越しまで、一気通貫で対応してくれることなども利便性が高いとも言えます。また、営業所などの物理的な距離も要素になります。
顧客にとって利便性が良いことは業者の負担が大きくなることもあります。そのために、価格が高くなってしまうこともあります。利便性と価格面は場合によっては反比例することもあり、相対的な判断材料の一つとも言えます。少しでもコストを下げたいのであれば、ある意味この部分を犠牲にしなければならないこともあります。

④Communication(コミュニケーション)
 
商品情報入手の容易さ、対面・オンラインイベント、コミュニケーションツール(SNSなど)のことです。
 
デザイン性や品質の高いことも重要な要素ですが、このコミュニケーション能力が低ければ、自分たちが理想としている家を実現できない可能性もあります。営業担当者などコミュニケーション能力の高い人が担当者となっているなど、自分たちの意見を汲み取ってくれることや、相談し易いなどが要素になってきます。

ここでは4Cの各要素を説明しましたが、建築家・建築設計事務所や建築業者などを決めるには下記事項について整理しておきましょう。考えがまとまっていないと分析精度が下がってしまいます。

  • どのような家をつくりたいか、デザイン性などを明確にしておきましょう。
  • トータル予算を大まかにでもイメージしておきましょう。
  • 自分たちの中で重要視するもの(優先順位)を決めておきましょう。

どのような家を建てたいかを明確に設定することで、建築家・建築設計事務所、住宅業者などの選定基準を明らかにでき、判断基準が明確になってきます。
 
予算が無尽蔵であれば、問題ないのですが、限られた予算の中で理想の家をつくる必要があります。おおまかな予算設定は早めに行なっておきましょう。
 
デザイン性、居住性または予算の何を重要視するのかなど、優先順位や譲れないものを決めていくことで、4C分析が効果的になってきます。
 

組み立て方の例

4Cの要素

各要素の満足度の高さをチェックするとともに、重要度についても意識していきます。資金に余裕があり、デザイン性が譲れない場合はデザイン性の割合を高くするとともに、コストの割合(配点)を低くします。現状の分かっている範囲で複数社を比較分析することで、選定作業の参考とすることができます。また、問題点を明確にし、例えば価格交渉ができるのであれば、デザイン性も良くA社に決めるなど建築業者との交渉目標を定めることもできます。


4Cを意識することで得られる効果
日常生活の買い物で商品を選ぶ時、4Cを特に意識していなくても、十分満足できる買物はできていると思います。それは、今までの買物経験や知人との会話などから、おおまかな選択肢が頭の中に入っているためです。初めて住宅を取得する方は当然ながら経験値が低く、情報も限定的な状態から検討していく状況となります。限られた予算や時間の中で、最適な選択をするには自分たちの理想の家の情報整理をするとともに、建築業者の4Cの各要素を取りまとめて整理することで、選択肢の絞り込みや問題点などが明確になってきます。そこで抽出された問題点などを4一旦整理することで、建築業者などとの具体的な交渉も可能となってくるでしょう。
非常に大きな生涯に一回かもしれない買物です。情報をきちんと整理し問題点の見極めをおこない、間違いの少ない選択により理想の家に近づけていきましょう。

さいごに
4C分析は企業が顧客目線で分析するマーケティング手法です。その手法を住宅取得に当てはめることで、どの建築家・建築設計事務所、工務店・建築業者を選択することが、ベストの選択となり、自分たちの理想の家実現に近づけるのかを具体的に検討できるツールとなります。4C 分析の精度を上げるには必要な情報をまとめ、できるだけ多くの情報が必要ともなります。ただし、限られた条件の中(経済的、時間的)での検証であり、交渉相手もありますので、自分たちの思った通りにすべて上手く選択できるとは限りません。それでも、業者選択時にきちんと各情報を取りまとめることは大切な作業となり、最終交渉での切り札を作ることができるかもしれません。是非、情報整理の一環として4C分析を取入れてみて下さい。

家

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