机と椅子

新築を検討する前に自分たちの「SWOT分析」を行いましょう

一生に一回の大きな買物である住宅購入を進めていったが、途中で紆余曲折してまい頓挫してしまったり、予算の関係で理想の家とかけ離れた家になったりすることもあるかと思います。

今回はそのような事態を招かないためにマーケティング戦略立案において使われる「SWOT分析」を解説します。
作業所風景

SWOT分析とは
SWOT分析は、企業がマーケティング戦略立案における環境ステップで、自社の環境要因を考える視点を提供します。
SWOTのSは強み(Strengths)、Wは弱み(Weaknesses)、Oは機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの組み合わせを分析することで、自社にとっての市場機会や事業課題を発見するものです。
これらの分析方法を活用して住宅購入検討に際し、自分の課題を明確に認識し、怠りのない準備をしていきましょう。

SWOT分析のマトリクス
  • 強み:目標達成にプラスとなる特質
  • 弱み:目標達成の障害となる特質
  • 機会:目標達成にプラスとなる外部の特質
  • 脅威:目標達成の障害となる外部の特質

SWOT分析の組み立て方

①目標を決めます
まずは、達成したい目標を設定します。
はじめに、何に対する目標をしっかり決めることが大切です。そうすることにより、具体的な戦略を立てることができます。
 
例)○年までに○○地区にて理想の家(〇〇風な家)を建てる。

家の勉強をする風景

②外部環境
外部環境に分けられる「機会」と「脅威」について考えていきます。
外部環境とは、自分たちでは変更することが出来ないものを指します。
自分たちの身の回りで起こっている出来事です。調査することは重要なことになるので、身近な情報を集め「機会」と「脅威」に分類してみましょう。
 
例)景気動向、法改正(住宅ローン減税、子ども手当等)、資材の値上がり、賃金改定など
 
③内部環境
内部環境に分けられる「強み」と「弱み」について考えていきます。
内部環境とは自分たちにて調整できるものを指します。
 
例)自己資金はある程度確保できている。年収は○○○万円※。
  住宅関連業者の知人がいる。そちらに頼めば、外構工事は安くできる。
 ※年収については自分たちでコントロールできないのであれば外部環境
 
④戦略をたてる
最後に、目標達成までの戦略をたてるためにクロスSWOT分析を行います。各項目を組み合わせて、具体期的な戦略をたてましょう。
 
 [強み] ✕ [機会] → 強みを活かし機会を最大限に活用する戦略
 [強み] ✕ [脅威] → 強みを活かし脅威を切り抜けるための戦略
 [弱み] ✕ [機会] → 弱みによって機会を逃さにための戦略。弱みの克服
 [弱み] ✕ [脅威] → 弱みと脅威による最悪の事態を回避する戦略

組み立て方の例

内部環境

[強み]
・自己資金が確保できている
・安定した収入がある
・親族の支援が見込める
・外構業者の知人がおり、外構は安くできる

[弱み]
・自己資金が少ない
・住宅業界に関する知見が少ない
・携帯電話などの通信費費が高い
・保険料負担が大きい


外部環境

[機会]
・昇格、昇給など年収が増加する
・子どもが卒業し、教育費負担が減る
・自治体などの補助金がある

[脅威]
・金利上昇
・資材高騰
・住宅ローン審査厳格化


抽出された各要素に対し対策を講じることで、[弱み]は改善できることがあります。例えば、現在負担となっている保険料は団体保険付きの住宅ローンを組むことで、見直し削減することも可能かもしれません。また、自己資金が少ないことについても、全額住宅ローンで対応できることもあります。一方で[強み]と思っていた建築業者の知人が、自分たちの思っている予算やデザインと相違していても、知人であり断りにくい可能性があります。
各要素をできるだけ多く抽出し、メリット・デメリットをしっかり考え、弱みや脅威などへの対策を事前に検討していきましょう。


SWOT分析で得られる効果
ビジネスで企業がマーケティング戦略立案においては、[強み]✕[機会]を優先される戦略となりますが、理想の家の実現には[弱み]✕[脅威]について認識し、解消させていくことを優先していく方がいいでしょう。不安な部分を払拭した上で計画を策定していきましょう。ただし、[強み]と思っていたことも逆に足かせとなることもあります。例えば、住宅用の土地がある場合でも、いざ具体化した時に敷地面積が思った以上狭く使いにくいこともあります。
各要素を抽出し、どちらかわからない場合は[強み][弱み]の両方に記載しておくこともいいでしょう。
これらの作業を行うことで、自分たちの現状を理解し、弱み部分のカバーを行いつつ現実の規模感などを持つことが出来ます。理想の家を具体化させる第一歩として、何をすべきかなど具体的な行動がわかってきます。

さいごに
SWOT分析は自分たちが置かれている現状を把握するための分析方法です。理想の家の現実化をはかるためには、自分たちの分析を外部環境や内部環境より行い、弱点を補強していくことで、近づいてきます。問題点を早期に把握し、解消するための努力をおこなっていきましょう。自分たちの限られた予算や環境の中で最大限の努力をおこない、理想の家づくりにとりくみましょう。

家

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