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兵庫県立歴史博物館の魅力を探る|建築家 丹下健三

瀬戸内の名建築

兵庫県立歴史博物館

兵庫県立歴史博物館

兵庫県立歴史博物館は、世界文化遺産・国宝姫路城跡内に建築家丹下健三によって設計された。1983年に開館し、愛称「れきはく」として親しまれている。姫路城の周辺には、歴史博物館や市立美術館などの施設が充実しており、姫路城だけでなく、周辺をゆっくり1日かけて楽しめます。

姫路城周辺概略図

姫路城周辺概略図

兵庫県立歴史博物館とは

「兵庫の未来へのかけはしとなる博物館」とし、地域や人々の暮らしの豊かさの礎である歴史文化遺産を未来へ継承することに努め、兵庫県、そして兵庫県に関わる様々な人々のより良い未来づくりに貢献することを使命として、1973年姫路城跡内に建設することを発表し計画がスタートした。

建物のプラン

設計はコンペで丹下健三氏の案が採用されました。
特徴は、白御影を贅沢に使用した外壁は城の石垣を模しているなど、姫路城の存在感を十二分に活用して建築の意匠に採り入れていました。
当初は建物を60m四方の堀で囲むプランであったが、6度の改変を経て現在の建物となっています。
兵庫県立歴史博物館

現代の石垣を感じさせる端正なファサード

 
兵庫県立歴史博物館

重厚な佇まい

 
白御影を贅沢に使用した外壁は城の石垣、左側の窓は狭間そして上には垂木の木口に模したデザインとなっており、まさに城門をイメージしたものとなっている。建物全体は白鷺城と称された美しい白漆喰の色で統一されている。
兵庫県立歴史博物館
入口ホールの上に架けられた展示室をつなぐ廊下は櫓と櫓をつなぐ渡り廊下を思わせる
兵庫県立歴史博物館
入口のファサードや二階に続く廊下は連続窓となっており、モダニズム建築的表現となっている。
兵庫県立歴史博物館からの姫路城
 
入口では姫路城を背にしていること。また、入口左側(姫路城側)二階は展示室となっていることから白い大きな壁があり、姫路城を意識することはなかったが、二階に進むと眼前に姫路城が大きな窓に現れてきます。城内を回遊するイメージの構造となっています。
 
なお、当初は姫路城の緩やかな坂をイメージしたスロープとなっていたので徐々に姫路城があらわれてきたのでしょう。現在は内装の大規模改修が実施されスロープは廃止されエスカレーターとなっています。
兵庫県立歴史博物館二階廊下
 
壁面は片面が石垣風白御影、上方には狭間をイメージした直径30cmの空気孔が並んでいる。対する片面は全面ガラス張りとなっており開放感を感じることができる。

最終案ができるまで

兵庫県立歴史博物館設計プラン

プランの模型(兵庫県立歴史博物館HPより)

 
Aが最初の案で四方を堀で囲んでいる。そこからブラッシュアップしていき、C案、E案と最終案では堀の計画が無くなっている。C案、D案、E案の順番は不明であるが、ラウンジのある左の突出した部分の角度や大きさが最終案と大きく異なっており、最終案で姫路城を上手く取り込むことができる手法を発見したことが解ります。最終案のラウンジの窓の大きさと廊下からの傾きを思いついた時はおそらく「してやったり」となったのではないのでしょうか。
 

ラウンジの窓は廊下から南に角度をつけ折り曲げることで、姫路城がリフレクションする鏡面としたのであった。
 

兵庫県立歴史博物館

兵庫県立歴史博物館HPより


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