下瀬美術館|坂茂

下瀬美術館

下瀬美術館

下瀬美術館は、広島市に本社を置く建築金物、建材の総合メーカー丸井産業株式会社の創業60周年を機に構想された美術館。代表取締役下瀬ゆみ子とその両親が半世紀以上かけて形成してきたコレクション500点をコアとする私設美術館です。「アートの中でアートを観る」をコンセプトに掲げ坂茂氏が設計しました。

 
福山トレス
鏡面と曲線的な外観が美しいエントランス棟

建築家 坂茂

1957年 東京生まれ
1976年 成蹊高等学校卒業
1978年 南カルフォルニア建築大学入学
1980年 クーパーユニオンに編入
1982年 磯崎新アトリエに1年在籍
1984年 クーパーユニオン建築学部を卒業
1985年 坂茂建築設計を設立

TNAの設計による上州富岡駅

大分県立美術館

坂茂氏の建築は、単なる視覚的美しさだけでなく、機能性と持続可能性を兼ね備え、革新的なデザインと環境に対する深い配慮を持ったものとなっており、それが世界的な賞を受賞する理由となっています。

坂茂の挑戦

下瀬美術館は、当初広島市内に建設を予定していたが、2021年に都市計画上の規制を勘案し、広島県西部の大竹市に変更。坂茂氏は当初の計画から参画しており、新たな予定地は4.6haの広大な敷地と瀬戸内海に面した立地であった。そのため立地にあわせて設計も変更となった。
 
大竹の海岸から見た瀬戸内海の多島美に触発されたプランは8つの可動展示室でした。水盤の水面が海へと続く中、10m角の可動展示室が水に浮かぶように見えるというものであった。
 
坂茂氏の挑戦は、観光スポットのない大竹市を観光地に変えることでもあった。
下瀬美術館の可動展示室
下瀬美術館の可動展示室

8つの異なる色のカラーガラスで覆われた展示室は、すべて10×10mで統一され、配色はガレの作品に由来しています。
展示室の基礎は桟橋に使う台船となっており、深さ15cmの水盤を堰き止めして深さ60cmにすると展示室そのものが浮いて、動かせることができるようになっています。
 
美術館のコレクションだけでは恒常的に人を呼び続けるのは難しいと考え、建築自体が目的地になるようにしたいとの考えもあり、その一つが可動展示室であった。坂茂氏がこれまで継続的に考えてきた”動く建築”をかたちにしたものであった。

下瀬美術館の可動展示室

展示室

下瀬美術館の可動展示室

展示室をつなぐ通路

内部は完全なホワイトキューブになっています。また、各展示室は博物館仕様の空調設備などがそれぞれ付随されています。通常の美術館であれば、集中的な設備で管理するのが合理的であるが、それを8つの展示室に設備を分散させて、水盤上に配置させたのは、建築家坂茂氏ならではのアンチミュージアムのシンボル的なものでもあった。
下瀬美術館エントランス

エントランス

36本の檜材を1本にまとめた巨大な柱は大樹のように放射線状に大きく広がっており、空間をより広大なものに感じさせます。また、ガラス越しに見える瀬戸内の島々と可動展示室が訪れた人々に感動を与えています。
下瀬美術館
海岸線と平行に並び建つ3棟の外壁は長さ190m、高さ8.5mの「ミラーガラス・スクリーン」で一体化されています。
 
望洋テラスからは、瀬戸内の多島美が眼前に広がり、水盤に並ぶ8色に彩られた可動展示室などが楽しめます。
宮島、阿久田島、江田島などの瀬戸内

宮島、阿久田島、江田島といった島々と可動展示室

エミール・ガレの庭

エミール・ガレの庭

 

芸術家兼植物学者であったガレは、生涯を通して園芸家やほかの植物学者たちとの繋がりを求め、新しい装飾モチーフや今までなかった斬新な形を自身のガラス作品において実現するために、植物を熱心に研究しました。
そんなガレの作品に登場する草花を中心に、瀬戸内の気候に合わせて植栽された庭園がつくられています。


下瀬美術館基本情報

下瀬美術館

ナイトミュージアムは不定期開催です(HPに日程を記載)

所在地 :広島県大竹市晴海2丁目10-50
電 話 :0827-94-4000
休館日 :毎週月曜日
入園時間:9:30~17:00
駐車場 :あり
 
下瀬美術館

 

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