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四国民家博物館(四国村ミウゼアム)の魅力を探る

四国の魅力再発見

四国村ギャラリー

四国村ギャラリー(設計安藤忠雄)

四国村民家博物館(四国村ミウゼアム)は、重要文化財2棟を含む建造物33棟を移築し復元した屋外博物館。始まりは、カトーレック㈱加藤辰雄代表が時代とともに失われつつあった古民家保存に対する熱い想いからであった。その四国村ミウゼアムの魅力をみていきます。

 

四国村ミウゼアムにある古民家河野家住宅

「河野家住宅」国指定重要文化財

 

四国村民家博物館の経緯

きっかけは、加藤辰雄代表が従業員の定年後の再雇用先として1975年に始めたうどん店「わら屋」でした。屋島の麓に構えたわら屋は、江戸時代末期に建てられた藁葺きの農家を徳島から移築した店舗でした。そして、加藤代表は葺き替えられた屋根の切り揃えられた茅の庇や煤竹の並んだ屋根裏の空間を見て魅了されてしまいました。
 
そして、「四国中から古い民家を集め、保存する博物館をつくろう」という加藤代表の発案に賛同した清水秋義氏、清水富雄氏親子が無償で土地を提供。施設一切は加藤代表が負担することで「四国村」が誕生した。

うどん店「わら屋」

うどん店「わら屋」

うどん店「わら屋」店内

店内

四国村ミウゼアムの施設

四国村ミウゼアム地図

四国村ミウゼアム施設図

 
四国村は開設当時の建物は16棟でしたが、その後敷地も約5万平方㍍に拡大し、建物も33棟に増えました。代表的な建物として、愛媛県南予地方から移築された「河野家住宅」と徳島県剣山系の山間地から移築された「下木家住宅」があります。二棟とも、十八世紀の建築で堂々とした構造を誇り、国指定重要文化財となっています。
木下家住宅

木下家住宅

木下家住宅

居間

流政之による石畳と滝

流政之氏と加藤代表は1923年生まれの同い年であり、四国村の準備にあたっては、酒を飲み交わしながら議論を重ねたとのことである。流氏は、藁葺の民家は女性的でおとなしく、荒々しい男性的なものがあった方が良いとして入口の石畳の「流れ坂」を考案。石切場から切り出された花崗岩がダイナミックに敷かれている。また、「染が滝」では、古い民家の土台石を組み合わせた動きと音のある滝を配した。

流政之による四国村ミウゼアム「流れ坂」

流れ坂

流政之による四国村ミウゼアム「染が滝」

染が滝

産業遺産

藁葺き屋根の丸い「砂糖しめ小屋」は、香川県を代表する和三盆糖の生産に使われた建物。四錐形の屋根で日本に現存するのは四国村の2棟のみで国の文化財に指定されています。サトウキビを絞るために内部中央には3つの石臼が置かれ、取り付けられた腕木を牛が引き回していた。

四国村ミウゼアム宮﨑家砂糖しめ小屋

宮﨑家砂糖しめ小屋

四国村ミウゼアム宮﨑家砂糖しめ小屋内部

内部

アートエリア

四国村ギャラリーは、加藤達雄氏が収集した美術品を展示する美術館として、建築家・安藤忠雄氏の設計により2002年に開館。

四国村ギャラリー
スタイリッシュなコンクリート建物は借景である五剣山をイメージしているとも思われる。また、傾斜のある地形を活かした水庭によって豊かな建築空間が形成されている。
四国村ギャラリー
四国村ギャラリー

灯台エリア

日本灯台の父と言われるイギリス出身のリチャード・ヘンリー・ブラントン(明治政府の雇い灯台技師)による鍋島灯台(1872年竣工:坂出市)退息所は花崗岩を用いた石造建築に屋根は和小屋組みの桟瓦葺の和洋折衷。トスカナ式の列柱によるベランダが設けられている。室内は、当時の洋式デザインが確かめられ、丁寧に計算された部屋づくりとなっている。
鍋島灯台退息所
鍋島灯台退息所

おやねさん

入口と出口をどうデザインするかというエントランスエリアのリニューアルのプロジェクトが実施され、建築家川添善行氏の空間構想一級建築士事務所によりおこなわれた。2022年3月に屋外博物館の入口に建つチケット売場等を備えた施設が新設され、場の潜在的価値が現前された。エントランスエリアは周辺の資源を繋ぐように地形の改変と新築が行われ、周辺環境の関係性を空間的に調停している。
 
施設の棟の高さと南北それぞれの軒の高さは入口の傾斜にあわせ変化しており、47組の木の合掌はRC梁を支点に勾配や寸法は異なっている。シンプルな構造形式でありつつも、全体としては生き物のような有機的なシルエットとなっている。
 
四国村ミウゼアム「おやねさん」
 


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