谷口吉生の名建築

鈴木大拙館

鈴木大拙館

鈴木大拙館(2011年竣工:石川県)は金沢が生んだ仏教哲学者鈴木大拙についての理解を深めるためにつくられた。展示品の数や説明書きなどの情報を最小限にし「無の境地」を演出している。
鈴木大拙館

鈴木大拙館(石川県金沢市)

鈴木大拙

1870(明治  3)年 鈴木貞太郎として金沢市本多に生まれる
1891(明治24)年 帝国大学文科大学(現東京大学)哲学科選科入学
1894(明治27)年 居士号「大拙」を受ける
1897(明治30)年 渡米し出版編集者となる
1909(明治42)年 帰国
1909(明治42)年 学習院大学、東京帝国大学の講師に就任
1910(明治43)年 学習院大学教授に就任
1911(明治44)年 ベアトリス・レインと結婚
1921(大正10)年 真宗大谷大学(現大谷大学)教授に就任
1960(昭和35)年 大谷大学教授退官
1966(昭和41)年 聖路加国際病院にて没(享年95歳)
 

禅の思想を海外に広めた世界的な仏教哲学者。海外の大学などでの講義や著作を行い禅文化や仏教文化、日本文化などを海外に広くしらしめた。

鈴木大拙館の特徴

小立野台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを設計の基本方針とし、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「露地の庭」「水鏡の庭」によって構成されています。
鈴木大拙館館内案内図
鈴木大拙館 回廊

参道をイメージした玄関棟からの回廊

鈴木大拙館の玄関の庭

玄関の庭

鈴木大拙館 回廊

外部回廊

鈴木大拙館の水鏡の庭

瀬戸内海産の錆石

このミュージアムは展示空間で鈴木大拙を知り、学習空間で鈴木大拙の思想を学び、思索空間で学んだことを考える3つの行動を行う構成となっています。
特に思索を体験できる施設が特徴となっています。真四角な思索空間棟は禅宗寺院の住職が生活する空間「方丈」をイメージして設計されており、心を表す水鏡の上に浮いているように佇んでいます。心地よく孤立した空間では禅の思想を静かに思索することができます。
鈴木大拙館 水鏡

水鏡の庭

鈴木大拙館 思索空間の棟

水鏡に写り込む思索空間の棟

周辺景観との調和、季節や天候・時間によって変化する水面は、大拙の人柄にふさわしい「静か」「自然」「自由」を表現。鏡のような静かな水面に時より現れる波紋は○(丸)、限界まで単純化された軒や床の角が見せる△(三角)、水鏡の庭の輪郭や敷石は□(四角)を表しています。
鈴木大拙館

本多の森が借景となっている

大きな石垣を配置することで、建物全体がコンパクトに見えるように表現。石垣の高さは本多の森がきれいに見えるように4200mmとなっている。また、水鏡の水深は140mmとし底石に黒い花崗岩パネルを採用することで、周りの景色を美しく映り込ませるようになっている。
シンプルでありながら、谷口吉生氏に深く計算されつくされた奥の深い小さなミュージアムであった。


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