建築家は、瀬戸内の自然豊かな多島美や都市の夜景など、さまざまな環境や地域の特徴を活かした魅力ある展望台を設計しています。建築家の瀬戸内に対する想いなどを知り、瀬戸内の風景に対する新たな発見をしてみませんか。瀬戸内のおすすめの展望台を紹介いたします。
神戸ポートタワーは、開港90年を記念して神戸港中突堤に計画され、1963年に完成した世界で初めてのつづみ型鉄骨パイプ構造の展望台です。設計は日建設計工務㈱(現:㈱日建設計)の廣瀬二郎氏。
原口忠次郎神戸市長が、ロッテルダム港を視察した際に、港を一望におさめることができる素晴らしいタワーを見て、神戸港にもこれに勝る魅力あるタワーを建設したいとの思いから計画がすすめられた。
外観を構成する鋼管は基礎の円周上で16組の内傾したV字型に配置され、それぞれ一直線上に最上部まで貫かれており、それらの直線だけで全体が優美な曲面を形作り「一葉双曲面」となっている。
世界最初のパイプ構造の観光タワーは、「赤い貴婦人」「鉄塔の美女」などと称され、神戸のランドマークとして地域に愛される存在となっている。
2024年の耐震改修工事により最上階に
オープンエアデッキ『Brilliance Tiara』がつくられました。これにより、外から神戸の街並みや神戸港の景色をダイレクトに楽しむことができるようになり、神戸ポートタワーでの魅力体験が拡充されました。
六甲枝垂れ
兵庫県神戸市灘区六甲山町五介山1877-9
自然体感展望台として建築家三分一博志氏の設計による展望台(2010年竣工)。標高888mからの絶景は、淡路島から大阪平野、関西空港まで及び夜には「1,000万ドルの夜景」へと変化します。
六甲山山頂からの景色だけではなく、自然の中でのさまざまな遊び体験や六甲の自然、歴史を感じることができる施設となっています。
展望台周囲には雨水を貯えられる氷棚を設け、地下に氷室を設置しています。氷を夏まで貯え、夏には氷の冷気により涼をとることができるなど、六甲に古からある氷室の文化を体験できます。
冬から夏へ。水は氷の個体から液体へ変わる。ここでは、解けた氷が空間の熱を奪ってくれる。涼しい風が肘掛けから流れてくる。その後また気体へと変わり、トップライトから空へ戻っていく。水は常に地球を循環していることを直接体験することができます。
六甲枝垂れ展望台は、季節や時間帯によって様々な体験ができます。
千光寺頂上展望台 PEAK
広島県尾道市東土堂町20-2
PEAKは、千光寺山頂に2022年にリニューアルされた展望台。設計は、ルイ・ヴィトンの店舗などを手がける青木淳とパートナー品川雅俊による建築設計事務所AS。
長さ63mの展望デッキからは、尾道水道や日本遺産の街並みを大パノラマで楽しむことができます。
PEAKは、尾道の坂道の延長線のように、なだらかなスロープによる階段となっています。
展望台PEAKからの尾道水道の風景だけでなく、古の街尾道や千光寺までの坂道、猫の小道など街散策をしながら一日ゆっくりと楽しめます。
宮島弥山展望台
広島県廿日市市宮島町
弥山展望台は、宮島弥山原始林の山頂(標高535m)に、建築家三分一博志により設計されてつくられた。
展望台は、世界遺産の一つとして古今東西多くの人々に愛されてきた、豊かな自然が素晴らしい絶景地にふさわしい「座」の空間となっています。
宮島弥山は何度登っても常に違う美しさを魅せます。それは宮島弥山展望台でゆっくり「座」していただければ、動く素材をゆっくり感じることができます。
亀老山展望公園
愛媛県今治市吉海町南浦487番地4
亀老山展望公園は、世界初三連吊橋「来島海峡大橋」と日本三大急潮の一つ「来島海峡」の潮流を楽しめる標高307mの亀老山につくられた展望台。バブル崩壊後の1994年に竣工した展望台の設計は隈研吾によるもの。
亀老山展望台は、大島の亀老山の頂上にあるが、他の展望台と異なり、外から見えない展望台となっている。コンクリートの打ちっ放しの通路は、山の中に展望台が埋まっている構造となっているため、展望デッキに上るまでは景色が一切見えない。外からも、通路からも「見えない展望台」となっていた。
おりづるタワー
広島県広島市中区大手町1丁目2-1
おりづるタワーは、平和記念公園に隣接した場所に建っていた事務所用ビルを、建築家三分一博志氏が新たに平和を感じる場としてリノベーションした展望台。
屋上展望台「ひろしまの丘」では、ゆっくり座って瞑想に浸ったり、間近に見れる平和記念公園、原爆ドームにて平和の尊さを再認識したり、原爆で壊滅状態になった広島が緑豊かに再生していることを広島の風とともに感じることができる。
おりづる広場・おりづるの壁では、原爆ドームや原爆が投下された島病院が見渡せる部屋から実際におりづるを折って、おりづるの壁に投入することができます。世界中から集まる人々が、ここで平和を願って折ったおりづるが、積み重なっていき「おりづるの壁」は完成します。
70年草木も生えないと言われた広島。その70年が過ぎた現在、この丘に腰を下ろすと広島がいかに美しく世界に類を見ない復興を遂げた街であることが理解できる。人類は改めて何が大切か認識する必要がある。このおりづるタワーは世界でもっとも自然の偉大さを感じることができる場所である。
やしまーる
香川県高松市屋島東町1784-6
やしまーるは、観光名所屋島の復活への新たな施設として、建築家周防貴之により設計された回廊型展望施設。瀬戸内の多島美を楽しみながら、回廊を一周し屋島の歴史と自然を感じることができます。
回廊はガラス張りとなっており、回廊の向こう側の木々や風景が透けて見えて、内にいるのに外にいるような不思議な感覚に包まれます。
施設内にある「屋島での夜の夢」は、源平合戦の「屋島の戦い」をテーマに制作されたパノラマアート作品を楽しめます。また、周辺には新屋島水族館、四国八十八ヶ所屋島寺や屋嶋城石垣などを楽しむことができます。